算数で式だけが間違ったら○をくれないのか?

私のツイートに興味深いものが載っていたので紹介します。



残念ながら元のツイートが公開されなくなりましたが、内容はこのようなものでした。
算数のテストで、
高さ6cmの箱を2こ積み重ねたとき、高さは何cmになるのか

という式と答えを書く問題に対して、答えは「12cm」と書いていましたが、式は「2×6=12」と書いていて、答案には「×」がつけられていました。

ツイートした親御さんは、間違いだと言うことに納得がいかないようでした。

計算できればいいのではない

結論から言えば、「先生が間違いだと判定したことは正しい」です。

まず、テストで「式」を書かせると言うことは、どういう風に解いたか、「問題文を読みながらその通りに解いているか」という解き方を問われます。

問題では「高さ6cmの箱を2個積んだときの高さ」を求められています。

ゆえに、式として書く場合は、「6(cm)×2(個)」と考えて解いていることを示さないといけません。

仮に説明を書く問題だとすれば、

箱の高さが6cmで、それを2個積み重ねる時の高さを求めるので、求める上の式は、

6cm × 2個 

で、答えは6×2=12 、12cmです。
としないと正解になりません。

「かけ算で左右の項を交換しても答えは同じ」は正しくはない。

反論する中には「「2×6」でも答えは同じだからおかしいだろ」というものがありました。

しかし、それを言うのであれば、「証明」しないといけません。

算数や数学の証明においては、過去の事例、例えば2×1と1×2はともに2、3×4と4×3はともに12,というように、具体例を幾つも書いても、証明されたとは言えません。
証明するためには、どのような数(整数)が入っても、汎用的、普遍的に正しいことを説明しないといけません。

中学校レベルであれば、自然数mとnがあった場合、「m×n = n×m」が成立することを証明する必要があります。
もちろん、説明するように回答する問題でこれを書かなければ、正解にされません。
小学校2,3年では証明も習わないし、パラメーターも習わないので無理です。

百歩譲って左右項の交換法則が成り立つことが条件にあったとしても、説明をする上では、

6cm × 2個

左右項の交換法則により、
2×6=12
と、いずれにしても、「6cm × 2個」という考えが出てこないと正解にはなりません。

もし「かけ算で左右の項を交換しても答えは同じ」だと教えている小学校の先生がいたら、今すぐ止めましょう。誤った考え方を植え付けてしまいます。

算数、数学は「解き方」が大事

小学校2年生でかけ算の勉強が出来て、左右逆にしても同じだと思っていると、3年生で覚える割り算で確実につまずきます。

割り算では左右を交換すると答えが違うからです。

また、「数」というものは抽象的な概念であり、「数」同士の計算であれば交換法則を使ってもいいでしょう。

しかし、ものの「量」を計算する場合においては、問題にある計算対象の単位に基づく量をちゃんと理解した上で行わないといけません。

最初に出した問題において「2×6=12」とすると、「高さ2cmの箱を6個積み重ねたときの高さ」を求めると見なされるので、答えにはなりません。
「2個×6cm=12cm」だというと、「君は問題文を自然に字面順に読めないのか」と、日本語の読み方を疑われることになります。

いずれにしても、算数や数学は、計算した答えが合っているかを求められるのではなく、それを如何に解くかを説明できるかも大事です。
中学や高校に入ると、「証明」の問題が出てきます。
証明になると、誰でも理解できるように証明方法を説明しないと正解になりません。
計算だけで答えが出ることにしか興味がないと、中学校から成績ががた落ちになるでしょう。

そうならないためにも、小学生の時から、応用問題において「量」を計算する問題が出たら、問題文の説明通りに計算していることを「式」として書く習慣を身につけないといけません。

ラジオスターの復活と、著しく進歩したラジオ

2019年9月22日、1980年代から2000年代までアニメ関連のラジオ番組で看板パーソナリティとして人気を博していた小森まなみが数年ぶりにラジオに復帰し、当時のリスナーやファンが盛り上がり、ツイッターのトレンドで世界10位を獲得するなど、大きな反響を呼びました。

しかしその状況を見ると、数年のうちに進歩、変化したラジオの姿に、小森自身が戸惑う姿を垣間見たように思えます。

小森まなみとは

EFE7x1FVAAAKPnp※写真は本人公式ツイッターより

東京都出身の小森まなみは、日本大学芸術学部在籍中の1979年に、ニッポン放送でガヤのアルバイトをしているときにスカウトされ、ラジオ番組の1コーナーを担当する形でラジオデビューを果たしました。

翌1980年にはラジオたんぱ(現:ラジオNIKKEI)にて、「ヤロメロジュニア出発進行!」の金曜日担当パーソナリティーとしてのキャリアを出発しました。

そのアイドル然としたルックスと明るく優しい声で一気に人気となり、大橋照子、斉藤洋美とともに「たんぱ三人娘」として大きなブームを呼びました。

その人気にあやかって、1983年にはCBSソニー(現:ソニーミュージック)から歌とトークを収録したシングルレコードを5枚同時にリリース、歌手デビューも果たしました。

多くのラジオ番組を経て、1984年には東海ラジオをキーとした番組「mamiのRADIかるコミュニケーション(略称:RADIコミ)」がスタート、出産等による休養期間を挟みつつ、25年に渡って放送される長寿番組となりました。

小森のラジオへの姿勢は、若者を中心に、どのような内容であっても真剣に向き合うことを信条としていて、番組で採用できなくても全ての便りを読み、必要に応じて返信をするなど、毎週段ボール1つ分になるほどの多くのはがき、封書に囲まれる中でも一通ずつ読むことを厭わなかったのです。

キャリアを重ねる毎に、いわばアイドルDJという存在から、「マミ姉」と呼ばれるような、人生の先輩としての存在へと変化をしていきました。

その一方で、アニメ作品へのテーマソングなどの提供、アニメやゲームの声優としても活動していき、1990年代にRADIコミはアニメ系ラジオ番組(アニラジ)の一つとして、再びブームの真ん中に来るようになりました。

しかし2000年代に入ると人気が低迷、スポンサーの撤退も相まって、2009年でRADIコミが終了、そして2011年には自らの体調が優れないという理由で全てのラジオ番組を降板、2019年に至るまで長期休養が続きました。

公式ブログを含め、数年に及んで音信不通状態が続き、ネットでは死亡説までささやかれていただけに、冒頭の復活生放送は、かつてのリスナーにとって驚きを以て迎えられました。

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吉本興業 芸人を闇営業へと導いた驚くべき事情

2019年6月6日に、振り込め詐欺を行う犯罪集団のパーティに、事務所を通さずに直接営業として興業を行い、金銭をもらったとして、吉本興業に所属していた雨上がり決死隊の宮迫博之ら13人の芸人が無期限謹慎となり、営業の手引きを行っていたカラテカの入江が解雇される事件が起きました。

その後、当初は金銭を受け取ってなかったと主張したものの、実際には100万円のギャラをもらっていたことがわかったこと、無期限謹慎によって出演していた番組の降板を余儀なくされたことに対して、宮迫は契約解除を要求、受理され、吉本興業とは別で独自に記者会見を行いました。

確かに反社会組織と関わりを持つことは許される話ではありませんが、その背景には、吉本興業の契約形態の特殊さと、ギャラの大半を吉本側が搾取する実態を見ない限り、今回の事件を芸人の責任だと糾弾するのは短絡的だと言えます。

吉本興業の特殊な形態

一般的な企業であっても、正社員や契約社員として雇用する際には雇用契約書を交わすのが一般的です。それは民法においても明記されています。

一般的な芸能プロダクションでも、芸能人が所属する場合はマネージメント契約を交わすのが一般的で、ギャラについても条件として盛り込み、互いが承認して初めて成立します。

ところが吉本興業では、こうした契約を行った芸人はほんのわずかしかなく、テレビにも出る有名な所属芸人が「正式な契約を結んでない」のが実態です。

正式な契約を結んでないので、ギャラの額や配分も、吉本側のやりたい放題になるわけです。
そのため、新人の芸人が舞台で芸を披露しても、報酬が50円だけという信じられない事も当たり前になっているのです。

新人の芸人からすれば、自分の芸で有名になりたいからと吉本興業にすがってきますので、1円でもギャラがもらえて芸を披露する場が増えてくればいいと考えますが、吉本側から見れば、奴隷も同然に扱えると言うことです。

しかし、最初は自分の貯金などの持ち合わせがあっても、結局はお金がつきるのは必至であり、大半の芸人はアルバイトなど副業をしないとやっていけない実態があるのです。

奴隷契約で生み出された「闇営業」

テレビや舞台などで一定の人気を得た芸人にとっては、それでもまともなギャラをもらえず、生活に困り不満を抱くようになると、吉本興業を通さずに直接芸を披露するオファーを受けて、独自にギャラを受け取る「闇営業」「直(ちょく)」を行うようになります。

直接オファーをもらってしまえば、吉本興業の取り分も自分のものに出来るわけで、得られるギャラは事務所経由よりも遙かに多いわけです。

しかし、芸人側が単体で相手の素性などをチェックすることは限界があり、結局は暴力団などの反社会組織の営業を受けてしまうリスクが発生します。

今回の事件で独自に興業のオファーを受けていた入江は、芸人時代から酒席を通じた人脈を築く才能が
あり、すでに2015年に自らのプロモーション、マネージメント会社を設立しています。
彼自身、様々な業界の有名人、著名人とも人脈を持っており、その影響力は大きくなっていました。

事件は2014年のことで、入江はまだ会社設立して管理できる状況では無かったものの、今年になって発覚したのは、当時のメンバーが週刊誌に対して金を得るために暴露したのではないかと推測されます。

事件だけを見れば、入江の顧客への調査不足、ミスが原因であり、入江を解雇したことは何ら落ち度ではありません。
しかしながら、詐欺集団とは今迄に知ら無かったにも関わらず、出演した芸人を謹慎処分にしたのは正しいとは言い切れません。

「正当な契約」と「正当な報酬」があれば、この事件は起きなかった

この事件の原因の根本を突き詰めれば、やはり吉本興業の悪辣なやり口に至ります。

放送や広告会社においても、契約を行うにも口約束だけで行うことが慣習になっていますが、これも元々は芸能界の老舗のやり方を踏襲したことによるでしょう。

彼らは契約書を作らない理由として「めんどくさい」「すぐにタレントを呼べない」「時間がかかる」と口々に言います。

確かにスピードを考えれば契約書をいちいち作って契約しない方がいいでしょう。
しかしそれは、口約束の内容でトラブルがなかった場合に限ります。

トラブルが発生した場合、口約束だけで何の記録も撮っていなければ、言った言わないで水掛け論になるのは必然で、示談をするにも裁判で争うにも厄介になります。

契約書を取り交わす最大の理由は、互いにどういう仕事をするのか、そして報酬はいくらになるのか、トラブルが発生したときにどうするかを明確にすることです。
もちろん、契約の条件や内容が曖昧だったり、大雑把であればトラブルでこじれるのは目に見えているので、互いに抜けがないかをよく読んで、具体的かつ詳細な内容に詰めないといけません。

アメリカのスポーツや芸能の契約になると、100ページを超えるほどの膨大な契約書の条文になるのが多いです。
彼らは口約束など守る必要が無いといういい加減な考えがあるからこそ、ほんの些細なことですら条文に明記し、契約に明記しているんだから守れ、と言わないといけないのです。

日本人は口約束でも守る人が多いですが、そうでない人もいるわけで、契約書を取り交わすことが重要であることに変わりはありません。

吉本興業が体質を改善するためには、まず、所属芸人というのであれば、全ての芸人と正式な契約書を取り交わすこと。
そしてその報酬の取り分などについても、契約書に明記して、明朗な会計処理を行うことです。

その上では、採算に合わない実力の無い芸人を大量解雇する必要もあるかもしれませんが、少しでも望みiがあるように見せるような奴隷的な契約を続けるくらいであれば、きっぱりと突き放した方が偽善ではないように思えます。

ちなみに、芸能、放送、広告の各業界においても、コンプライアンスの精神は一般企業に比べても著しく欠如しています。
その最たるものが、こうした口約束で済ませてしまういい加減さだといえるでしょう。

東京の大手テレビ局は、吉本興業にコンプライアンスを徹底するよう要求しましたが、テレビ局もまた、一般企業並みのコンプライアンスを徹底すべきでしょう。
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